石鹸メーカーから見た界面活性剤の真実。

「界面活性剤」

この言葉を聞いたことが無い方もいらっしゃると思いますが、肌に優しいスキンケアを突き詰めていくと、必ずと言っていいほど直面する単語です。

そして、多くの方が部分的な知識で判断してしまっているが故に、大きな誤解をしている言葉でもあります。

ルアンルアンは、洗顔石鹸を実直に作り続けている、いわば「界面活性剤のプロフェッショナル」です。

界面活性剤とは何か。果たして悪なのか善なのか。

このコラムを読めば、スキンケアに対する考え方がきっと変わります。

なぜ、界面活性剤が使われるのか

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□ 界面活性作用とは

「あの二人は水と油だね」なんて慣用句があるように、水と油はそのままでは混ざり合いません。

 

例えば食器洗いを想像してください。

 

炒め物に使ったお皿を洗おうとした時、水だけでは油のヌルヌルが落ち切りません。これは油が水を弾いてしまっている為です。

 

だから私たちは洗剤を使います。この洗剤に含まれているのが「界面活性剤」です。

 

界面活性剤の仲介を受けた水と油は、仲良く混ざり合い、水が油を包み込むような形になることで、やっと油汚れがお皿から流れ落ちてゆくわけです。

 

 

ちなみに豆知識ですが、40度以上のお湯だと油は結構落ちます。これは油の粘度が緩むことでお皿にくっ付く力が弱まる為です。ただ時間がかかりますし、完全に落とし切るのは難しいかもしれません。

 

 

話しを戻しますが、こうして主に油汚れを落とす目的で配合される成分が界面活性剤です。

 

そして石鹸は、そのものが界面活性剤です。言い換えれば、界面活性剤の塊が石鹸ということになります。

 

 

□ よくあるご質問 「生せっけんは界面活性剤を使っていますか?」

このようなご質問をいただくこと自体、石鹸メーカーとして私たちが皆様にきちんと界面活性剤のことを伝えきれていない証拠だと思い知らされます。反省です。

 

この質問に関する回答ですが、まず界面活性剤の種類を知っていただく必要がございます。

 

界面活性剤は大きく分類すると「界面活性剤(天然由来)」と「合成界面活性剤(石油由来)」に分かれます。

 

前者は天然素材にそのまま含まれているものや(卵黄に含まれる卵黄レシチン)、天然素材を掛け合わせることで作られるものです(例:木灰×動植物の油)。

 

後者は石油などを原料とし、界面活性作用を持たせるように化学的に作られた化合物のことを主に意味します(例:ラウレス硫酸Na)。

 

この表現の仕方で混乱を招くことがとても多いのです。

 

今回のコラムでは石鹸などの天然素材の界面活性剤を「天然界面活性剤」。石油系の合成界面活性剤を「石油系界面活性剤」。この2つをまとめた総称として「界面活性剤」と呼んでまいります。

 

 

さて、冒頭のご質問への回答ですが、ここまでを踏まえると「石鹸自体が天然の界面活性剤です。それ以外の石油系の界面活性剤等は一切使用しておりません」というお答えになります。

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□ 界面活性剤のメリットとデメリット

では界面活性剤を使うメリットとデメリットを考えてまいりましょう。

 

製品を紹介する時、メーカーはメリットばかりお伝えしているイメージがあるかもしれませんが、デメリットをお伝えすることもメーカーの重要な責任です。

 

界面活性剤のメリットは、前述したように油汚れをしっかり落としてくれるということです。

 

対してデメリットは、その成分自体は肌が喜ぶようなものではないということです。

 

例えば、界面活性剤は天然であれ合成であれ、それ自体は肌の栄養にはならず、むしろ異物です。そして成分と使い方によっては肌バリアを壊す可能性があります。

 

肌バリアは真皮への異物の侵入を防ぎ、逆に真皮から届いた潤いをキープする役割を持った大切な機能。あまり壊したくはありません。

 

そして特に問題なのが、界面活性作用が強すぎると、角層で水分を挟み込んで保持してくれているセラミドなどの細胞間脂質まで洗い流してしまう可能性があるということです。

 

こんなデメリットがあるのに、何故界面活性剤で洗顔するのでしょうか?

 

それは、スキンケアにとっては界面活性剤を正しく使って「不要なものを毎日落としきる」ことのほうが遥かにメリットがあるからです。

 

お肌の汚れの多くは、古い皮脂、古い角質、ほこり、汗などが混ざり合うように絡み、酸化した脂の塊になっています。これを落としきらないと毛穴詰まり、雑菌の繁殖、しみしわ、角質堆肥などを引き起こし、その結果、お肌が本来持っている回復機能が弱まり悪循環に陥ります。

 

お肌は「ターンオーバー(新陳代謝)」という一定の周期で肌細胞が入れ替わる機能が備わっています。これを弱めない(遅らせない)ことが何より大切なことで、その為にも毎日お肌をリセットして入れ替わりを促してあげます。年齢を重ねると代謝の周期は長くなりますが、決して諦めてはいけません。ここさえ気を付けていれば、スキンケアはとても楽になるはずです。

 

毎日ちゃんと落とすことは、何かを加える工程よりも遙かに大切な儀式なのです。

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□ 界面活性剤との付き合い方

界面活性作用を使って不要なものを落としきる。このことに嫌悪感は無くなりましたでしょうか。そうであれば嬉しいのですが…。

 

マイナスイメージが無くなれば、あとはどのようなものを選ぶかだけです。

 

これは断然、天然界面活性剤である「石鹸」をおすすめします

 

なぜなら石鹸は洗顔後に水で洗い流すと、界面活性作用が失われる、という性質を兼ね備えている界面活性剤だからです。詳しくは前回のコラム 「石鹸のアルカリ性?ペーハーって何?」をご覧ください。

 

この、“肌の上に界面活性剤が残らない” というのはものすごく大きなメリットです。

 

また、弱酸性の洗顔料とよく比較される “石鹸のアルカリ性” についても、肌には「アルカリ中和能」という機能が備わっていて、洗顔後にお肌がアルカリ性に傾いても、自然と肌が最も安定する弱酸性に引き戻す作用が働きますので大きな心配はいりません。

 

ちなみにアルカリ性の特徴である「汚れを落としやすい」という部分は、そのまま洗浄力が高いということになります。ただお肌には洗顔で落としたくないものもたくさんありますよね。これに対してどう解決しているのかが石鹸メーカーの腕の見どころであり、製品の違いとなって表れる部分です。

 

例えば脂肪酸や油脂にどのようなものを選ぶのか。どのような製法で不純物を排除するのか。PH(ペーハー)をどこで安定させるのか・・・などなど。

 

一言で「石鹸」と言っても、落とすことに全力集中したパワフルなものから、必要な皮脂や細胞間脂質(セラミドなど)はなるべく落とさないように工夫されたものまで様々です。

 

 

 

そんな石鹸ですが、洗浄力が強い石鹸を選ばないほうが良い時もあります

 

 

それはかなり肌力が弱っている時(突発的な乾燥・敏感肌)や、皮脂量が少なくなっている時です。

 

石鹸がアルカリ性であることは洗浄力の部分で大きなメリットですが、それは先ほど触れた「アルカリ中和能」がしっかりと働くことが前提です。

 

この引き戻す力が弱っている時は界面活性作用による洗浄力が強い石鹸だとデメリットが勝ってしまう可能性が出てきます。

 

まずは肌力を取り戻すことが先決になりますので、優しさに工夫を施したものを選んでください。弱酸性の洗顔料や、ぬるま湯だけでの洗顔を数週間続けてみるのも正しい選択です。ただし、洗浄力が弱いので、洗顔に時間をかけるか、落としやすい化粧品を使うなどの工夫も一緒に行ってください。

 

そして肌が元気を取り戻したら、また石鹸でしっかりと落としきるようにしましょう。いつまでも落としきらないで優しさ優先にしていると、肌がたくましさを失ってしまったり、不要なものが積もっていってしまいますのでお気を付けください。

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■ 最後に

界面活性剤の種類やメリット/デメリットをご説明させていただきました。長い文章になってしまいまいたが、それだけ大事なことで、誤解されやすいものであるからだとご理解ください(私の文章力が拙いのもありますが…)。

 

大切なのは「正しく知ること」です。

 

製品についてのメリットやデメリットを知ることもそうですし、自分の肌について知ることも同様です。

 

知ることで、様々な選択肢の中から、最も今の自分に合うものを見つける為の道筋を見出してもらえれば、私たちもとても嬉しいです。

 

それがもし、ルアンルアンのハーバルフレッシュソープ(生せっけん)でなくともです。

 

生せっけんは、落としきることと守ることを両立することで、一生使い続けていただけるような優しく・楽しい石鹸を目指して作られました。何年も苦労しただけあって、自信を持っておすすめできるものが出来上がったと自負しています。

 

乾燥に悩んでいた方。小さなお子様をお持ちのお母様。アトピーをお持ちの方。様々なお悩みを抱えている方から喜びの声が届くたびに、それを励みにし、またより良いものをお届けする為のパワーにしています。

 

ただ、肌には様々なタイプがあり、心と体によってゆらぎ、トラブルを抱え、年齢を重ねていくものです。

 

皆様はご自身の肌の状態を考え、どういった洗顔をするべきか考えてみてください。

 

私たちは皆様からもらったパワーを元に、更にこの生せっけんに対して努力を重ねてまいります。それが石鹸にこだわっているブランドとしての責任とプライドです。

 

最後まで読んでいただけた皆様が、少しでも安心し、ご自身に合った洗顔に巡り合うことを。適うならばそれが生せっけんであることを祈っています。

生せっけんの洗浄スペック

□ 洗浄成分(石鹸素地+天然クレイ)

  • ステアリン酸/パルミチン酸/ミリスチン酸/ラウリン酸(※全て植物由来成分)
  • 水酸化カリウム/水酸化ナトリウム
  • 炭酸カルシウム/ベントナイト

 

生せっけんは脂肪酸がリッチな石鹸です。特に皮脂を洗うのが得意で、大切な細胞間脂質(セラミドなど)は洗い流しにくいステアリン酸をリッチに使用しています。

 

炭酸カルシウム(ホワイトクレイ)とベントナイトは天然の泥です。界面活性作用だけでは落としにくい毛穴の中の汚れや、古い角質を中心に老廃物を吸着してくれます。

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