
公開日:2025年12月19日
⌛このコラムは約5分で読めます。
木枯らしが吹き、マフラーが恋しい季節になりました。 この時期、ふと鏡を見て「あれ? なんだかお肌に元気がないかも」と感じることはありませんか? しっかりケアしているつもりなのに、ほっぺたが突っ張ったり、カサカサしてしまったり。
乾燥する季節、多くの方が「何をつけるか(保湿)」に注目しがちですが、実は一番の鍵を握っているのは、毎日の「洗顔」です。
「うるおう洗顔方法」とは、特別な道具や難しいテクニックのことではありません。 お肌が本来持っている「うるおいを守る力」を邪魔しないように、とことんやさしく接すること。
今日は、生せっけんをこよなく愛する私から、乾燥する季節だからこそ知ってほしい、お肌も心も満たされる「うるおう洗顔」のヒントをお話しします。 温かいお茶でも飲みながら、リラックスして読んでいただけたら嬉しいです。
なぜ、冬の洗顔がそんなに大切なの?
寒い季節、お肌は冷たい風と暖房の乾いた風にさらされ、常に「乾き」と戦っています。 そんな過酷な環境にいるお肌は、自らを守ろうとしてとてもデリケートな状態。
ここで「汚れを落とさなきゃ!」とゴシゴシ洗ってしまうと、お肌が必死で守ろうとしている「大切なうるおい成分」まで洗い流してしまいます。 するとお肌は無防備になり、ますます乾燥が進んでしまうのです。
冬の洗顔で目指したいのは、「汚れは落とすけれど、うるおいは残す」という絶妙なバランス。 それはまるで、大切な宝物を扱うような繊細な作業です。 そのための具体的な4つのポイントをご紹介します。
ポイント1:「30〜32℃」のぬるま水で洗う
寒い日に熱いお湯で顔を洗うと気持ちいいですよね。 でも、お皿洗いを想像してみてください。油汚れも熱いお湯だと洗剤なしで落ちてしまうように、お肌に必要な「天然のオイル」まで溶かし出してしまいます。
私が長年の研究でたどり着いた答えは、「30℃から32℃くらいのぬるま水」です。
これは、手で触れたときに「ちょっと冷たいかな?」と感じるくらいの温度。体温よりも少し低いこの温度こそが、うるおいを守りながら汚れを落とす黄金の温度なのです。 「温かい」と感じるお湯は、顔にとっては熱すぎることが多く、乾燥の原因になります。 顔に触れたときに少しひんやりとするけど、ぬるい温度。これを守るだけで、洗い上がりの感触が「しっとり」へと変わっていきます。
ポイント2:手と顔の間には「泡のクッション」を
洗顔のとき、手のひらがお肌に触れていませんか? 乾燥してデリケートな冬のお肌にとって、手でこする「摩擦」は大きな負担。こすることで水分が逃げやすくなってしまいます。
ここで大切なのが「泡」です。 泡は汚れを落とすだけでなく、手とお肌の間に入って摩擦から守る「クッション」の役割を果たします。
理想的なのは、手とお肌が一度も触れ合わないくらいのたっぷりの泡。 その泡を顔にのせたら、手でこするのではなく、泡をバウンドさせるように「くるくる」と円を描いて洗います。 今の洗顔料は優秀なので、泡が転がるだけで汚れを十分に吸着してくれます。やさしく洗うことでお肌のキメが整い、自然な明るさも戻ってきますよ。
ポイント3:すすぎとタオルドライこそ、やさしく
泡を流すとき、シャワーを直接顔に当てていませんか? 水圧もお肌への刺激になります。 少し面倒でも、両手にお水をためて、お肌にパシャパシャとかけるようにすすいであげてください。生え際やフェイスラインのすすぎ残しにも注意しましょう。
すすぎの回数も大切です。最低でも20回できれば30回はすすぐことをおすすめします。洗顔料をしっかり洗い流すには、この回数が必要です。
そして仕上げのタオルドライ。ここでも「ゴシゴシ」は厳禁です。 ふわふわのタオルを顔に「当てるだけ」。タオルが水分を吸い取るのを待つ感覚で、そっとおさえるように拭きます。 洗い終わったお肌を触って、もっちりとしていたら大成功。「ありがとう」とお肌が喜んでいるサインです。
ポイント4:朝も必ず洗顔料で、やさしく「水分たっぷりの泡」を
「朝はメイクしていないし、乾燥するからお湯だけで……」と思っていませんか? お気持ちはわかりますが、実は朝も洗顔料を使うことが大切です。
私たちは寝ている間にコップ一杯分の汗をかき、皮脂を分泌しています。さらに布団のほこりや、夜のスキンケアの残りなどが酸化してお肌に残っています。 これらは水だけでは落ちにくく、そのままにすると肌トラブルや乾燥の原因になってしまうことがあるのです。
「でも、朝から洗顔料を使うとつっぱる……」 そんな乾燥が気になる朝におすすめなのが、「水分たっぷりのやわらか泡」です。
普段より泡立てる時の水を少し多くしてみてください。 そうすると、いつもより少しゆるめの、ふわふわとやわらかい泡ができます。 この水分を含んだ「やわらかい泡」は、お肌へのあたりがとてもマイルド。 洗浄力が穏やかになり、うるおいを残しながら、寝ている間の汚れだけをやさしく浮かせて落としてくれます。
乾燥が気になるときこそ、洗顔料をやめるのではなく、泡の作り方を工夫する。 「今日は乾燥しているから、お水を多めにしてふわふわの泡にしよう」 そんなふうに、その日のお肌に合わせてあげるのが、おすすめの「オーダーメイドな洗顔」です。
「生せっけん」という選択肢
最後に、洗顔料選びについてもお話しさせてください。 うるおう洗顔のために私がたどり着いた答え、それが「生せっけん」です。
一般的な固形石けんは加熱して作ることが多く、熱で成分が壊れることがありますが、「生せっけん」は違います。 熱を加えて固めない製法で、植物のうるおい成分や栄養をそのままギュッと閉じ込めています。 それはまるで採れたて野菜のようなフレッシュさ。洗い上がりなのに、化粧水をつけた後のようなしっとり感に、きっと驚かれるはずです。
ただ、生せっけんは水分が多く柔らかいため、ジャータイプの容器では使いづらいのが難点でした。 「もっと手軽に、この洗い上がりを毎日楽しんでもらいたい」 そんな思いから生まれたのが、私が今夢中になっているアイテムです。
それが、「生せっけんスティック」です。
これは、やわらかい生せっけんをリップクリームのようなスティック容器に入れたもの。 これならお風呂場でも溶けず、手も汚さずに使えます。
使い方は簡単。スティックから少し繰り出して、乾いた泡立てネットに直接せっけんを擦りつけ、水を加えて泡立てるだけ。 あっという間に濃密な泡が作れます。 特に、先ほどお話しした朝の「水分たっぷりのやわらか泡」を作りたいときにも便利。ネットの水分を多めにするだけで、きめ細かいふわふわ泡が簡単に完成します。
生せっけんスティックの泡は、キメが細かくなめらか。顔にのせた瞬間、やさしい香りと感触に包まれて「うっとり」してしまうはず。 冬のお肌に必要なうるおい成分がたっぷりで、洗い流した後もつっぱり感がありません。洗うたびにお肌がふっくら柔らかくなる喜びを感じていただけると思います。
毎日の洗顔を、ただの「汚れ落とし」から、自分をいたわる「癒やしの時間」へ。 生せっけんスティックのやさしい泡に包まれて、あなたの冬の素肌がもっと輝きますように。

生せっけん研究家
松田理沙 Lisa Matsuda
百貨店で美容部員としてキャリアをスタートし、2011年にルアンルアンの「生せっけん」と出会う。濃密な泡とハーブの力に魅了され入社し、「素肌美の近道は洗顔。」をテーマに泡の質や肌へのやさしさを研究。身体のケアにも視野を広げ、リラクゼーション技術の習得や、生せっけんの原点であるタイにも通いながら独自のスキンケアメソッドを築く。二児の母として、忙しい日々でも無理なく続けられる “シンプルで続くスキンケア” を提案している。
よくある質問(FAQ)
「ちょっと冷たい」が、お肌を守る合図です。 最初は少しひんやりと冷たく感じるかもしれませんね。でも、現在の洗顔料は、その温度でも十分に汚れを落とせるように作られています。 むしろ、ご自身が「温かい」と感じる温度のお湯は、お肌に必要な「うるおいオイル」まで溶かし出してしまい、乾燥の大きな原因になってしまいます。汚れは落としつつ、うるおいは守る。そのための黄金バランスがこの温度なのです。ぜひ続けてみてください。
そんな時こそ、「便利なアイテム」に頼ってみませんか? お気持ち、とてもよくわかります! 忙しい朝にこそおすすめしたいのが、コラムでもご紹介した「生せっけんスティック」と泡立てネットの組み合わせです。泡立てネットにスティック生せっけんをサッと塗り、水を加えて泡立てるだけで、あっという間にもっちり泡が完成しますよ。
乾燥している時こそ、やさしい泡で「汚れだけ」を落としてあげましょう。 お肌が敏感になっていると、そっとしておきたくなりますよね。ですが、寝ている間についた皮脂や空気中のほこりは、水だけでは落ちにくく、そのままにするとお肌への刺激になって、かえって乾燥や肌荒れを招くことがあります。 乾燥が気になるときは、お水をたっぷり含ませた、刺激の少ない「ふわふわのやわらかい泡」を作って、手がお肌に触れないように短時間でやさしく洗ってあげるのがおすすめです。
いえ、そんなことはありません。でも、一度試す価値はあるかもしれません。 お手持ちの洗顔料でも、「ぬるま水・たっぷりの泡・こすらない」という3つのポイントを守っていただければ、「うるおう洗顔」は実践できます。 ただ、「生せっけん」は製造過程でなるべく熱を加えない製法のため、植物由来の保湿成分などがそのままギュッと詰まっています。洗い上がりの「肌が呼吸するようなしっとり感」は格別ですので、もし機会があれば、ぜひ一度体験してみてくださいね。
タオルで水分をおさえたら、「すぐ」が鉄則です! 洗顔直後のお肌は、汚れが落ちてさっぱりしている反面、とても無防備で水分が逃げやすい状態になっています。 タオルでそっとおさえるように水気を取ったら、時間をおかず、1秒でも早く化粧水などでうるおいを閉じ込めてあげてください。洗面所にスキンケア用品を置いておき、間髪入れずに保湿を始めるのがおすすめですよ。