5月の肌は、なぜ「テカるのに乾く」のか?

公開日:2026年5月8日
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日差しに初夏の気配を感じる5月。過ごしやすい季節と思われがちですが、実は私たちの肌にとっては、1年の中でも極めて過酷な「変化の季節」です。

この時期、多くの人を悩ませるのが、肌表面はベタつくのに内側が突っ張る「インナードライ」という現象です。今回は洗顔研究家の視点から、この矛盾した肌状態を解き明かし、健やかな肌を取り戻すための洗顔について深く考察していきます。

あなたの肌は「脂性肌」ではないかもしれない

あなたの肌は「脂性肌」ではないかもしれないあなたの肌は「脂性肌」ではないかもしれない

「日中のテカリが気になるから、自分は脂性肌(オイリー肌)だ」と思い込み、強力な洗浄力の洗顔料を選んでいませんか? もし、以下のようなサインに心当たりがあるなら、それは脂性肌ではなく「インナードライ」の可能性が高いと言えます。

・洗顔後、数分経つと肌がピキピキと突っ張る。

・夕方になると皮脂でメイクが崩れるのに、目元や口元には細かな乾燥小じわが見える。

・肌の表面はテカっているのに、手で触れるとゴワつきや硬さを感じる。

・ファンデーションのノリが悪く、粉を吹いたようになる部分がある。

インナードライとは、専門的には「角質層の水分量が著しく低下している一方で、皮脂の分泌が過剰になっている状態」を指します。5月の日本は、春の強風が運んできた塵や花粉による物理的なダメージが蓄積しているところに、急激に強まる紫外線、そして冷房の稼働による湿度の急低下が加わります。この複合的な要因が、私たちの肌から「自ら潤う力」を奪い去ってしまうのです。

まずは、自分の肌が「油分過多」なのか、それとも「水分不足による油分過多(インナードライ)」なのかを正しく見極めることが、正しいスキンケアの第一歩となります。

なぜ「ベタつくのに乾く」という矛盾が起きるのか

なぜ「ベタつくのに乾く」という矛盾が起きるのかなぜ「ベタつくのに乾く」という矛盾が起きるのか

なぜ、水分が足りないはずの肌がベタついてしまうのでしょうか。そこには、人体が備え持つ「自己防衛反応」が隠されています。

私たちの肌の最表面には、厚さわずか0.02ミリ(ラップ1枚分ほど)の角質層があります。ここには、水分を蓄える「天然保湿因子(NMF)」や、細胞同士を繋ぎ止める「セラミド(細胞間脂質)」が存在し、肌のバリア機能を担っています。

しかし、何らかの原因で角質層の水分が逃げてしまうと、肌は「このままでは内部まで乾燥してダメージを受けてしまう!」という危機を察知します。そこで脳は、水分をこれ以上蒸散させないための「蓋」として、皮脂腺にフル稼働を命じるのです。

これが、インナードライによる過剰皮脂のメカニズムです。つまり、5月の肌に見られるテカリの多くは、潤いすぎている証拠ではなく、むしろ「深刻な水分不足を補おうとする必死の抵抗」なのです。

ここで最もやってはいけないのが、この過剰な皮脂を「悪」と決めつけ、根こそぎ奪い去ることです。皮脂を奪えば奪うほど、肌はさらなる危機感を感じてより多くの皮脂を分泌するという、終わりなき「負のスパイラル」に陥ってしまいます。インナードライを解消する鍵は、皮脂を敵視するのではなく、内側の水分量を満たすことで「皮脂を出す必要のない環境」を整えてあげることにあります。

インナードライを悪化させる3つのNG習慣

インナードライを悪化させる3つのNG習慣インナードライを悪化させる3つのNG習慣

良かれと思って続けている習慣が、実はインナードライを深刻化させているケースが多々あります。

① 洗浄成分の選択ミス
「さっぱりする」という基準だけで選ぶのは危険です。洗浄力が強すぎる洗顔料は、汚れだけでなくバリア機能に不可欠なセラミドまで流出させます。洗顔の目的は汚れを落とすことであり、肌の構成成分を削り取ることではありません。

② 「温度」によるバリア機能の崩壊
38℃以上の熱いお湯は、肌の潤いを守る成分をドロドロに溶かし出します。理想的な温度は30〜32℃の「ぬるま水」。手で触れたときに「少し冷たいかな?」と感じるくらいが、潤いを守る境界線です。

③ 「摩擦」という物理的な刺激
インナードライの肌は非常に過敏です。指先でゴシゴシ洗うと角質層に微細な傷がつき、そこから水分が蒸発します。手が肌に直接触れる感触があるうちは、摩擦が生じていると考えましょう。

インナードライを救う「保湿洗顔」

インナードライを救う「保湿洗顔」インナードライを救う「保湿洗顔」

インナードライを克服するために、洗顔を通じて水分保持力を高める準備をする「保水洗顔」を取り入れましょう。

1. 「厚み」のある泡がすべてを決める
洗顔の主役は泡です。理想は、逆さにしても落ちず、指の圧力が直接肌に伝わらないほどの密度と弾力。この泡が「表面張力」で汚れを吸い寄せ、摩擦を限りなくゼロにします。泡の質を高めることが、何よりも優先されるべきスキルです。

2. ゾーンに合わせた「時間差洗い」
顔の皮膚は場所によって性質が異なります。

・Tゾーン(額・鼻): 皮脂腺が密集。酸化した脂が溜まりやすい。

・Uゾーン(頬・顎先): 乾燥しやすい。

・Oゾーン(目元・口元): 皮膚が非常に薄く、最もデリケート。

泡を乗せる順番は「Tゾーン → Uゾーン → Oゾーン」を守りましょう。最も乾燥しやすい目元は、最後に数秒泡が触れる程度で十分。この数秒の差が、洗い上がりの保湿感に決定的な違いをもたらします。

3. すすぎは「置く」ように行う
両手ですくった水を肌に「そっと置く」イメージです。水が触れる瞬間の水圧だけで流します。回数は20回以上が目安。洗顔料が少しでも残ると刺激となり乾燥を助長します。髪の生え際まで慈しむように丁寧に流してください。

洗顔後の「黄金の1分」と生活習慣

洗顔後の「黄金の1分」と生活習慣洗顔後の「黄金の1分」と生活習慣

洗顔後の肌は、古い角質が取り除かれ成分が浸透しやすい反面、最も水分が逃げやすい無防備な状態です。

タオルで顔を押さえるように水分を吸い取ったら、1分以内に保湿を開始してください。まずは「水分」をたっぷりと与えること。セラミドやヒアルロン酸など、水分を抱え込む成分が配合された化粧水を、手が吸い付くまで重ね付けしましょう。

また、肌は「内臓を映す鏡」です。5月は環境変化で自律神経が乱れやすいため、以下の意識も欠かせません。

・水分補給の質: カフェインを含む飲み物は利尿作用があり、体内の水分を奪います。インナードライが気になるときこそ、常温の水をこまめに飲み、細胞内から潤いを補給しましょう。

・睡眠の質: 肌の修復を司る成長ホルモンは、入眠後の深い眠りの間に分泌されます。

・湿度環境: 5月は晴天が続くと湿度が20%台まで落ちることもあります。室内では加湿を意識し、肌を取り巻く空気を乾燥させない工夫が必要です。

肌の声を聞くということ

肌の声を聞くということ肌の声を聞くということ

洗顔は、毎日欠かさず行うルーティンです。しかし、その当たり前の行為の中にこそ、肌を変える最大のチャンスが眠っています。

ベタつきを感じたとき、「落とさなきゃ」と焦る前に一度、肌の声を聞いてみてください。そのテカリの下で、肌は必死に水分を守ろうと叫んでいないでしょうか。インナードライという現象は、肌があなたに送っている「もっと大切に扱ってほしい」というメッセージです。

手のひらを通じて肌と対話し、優しく整えていく。その積み重ねの先に、どんな季節の変化にも揺るがない、内側から満ち足りた「真の美肌」が待っています。5月の眩しい日差しに負けない健やかな肌を、あなたのその手で育んでいきましょう。

監修者:洗顔研究家 松田理沙

洗顔研究家
松田理沙 Lisa Matsuda

百貨店で美容部員としてキャリアをスタートし、2011年にルアンルアンの「生せっけん」と出会う。濃密な泡とハーブの力に魅了され入社し、「素肌美の近道は洗顔。」をテーマに泡の質や肌へのやさしさを研究。身体のケアにも視野を広げ、リラクゼーション技術の習得や、生せっけんの原点であるタイにも通いながら独自のスキンケアメソッドを築く。二児の母として、忙しい日々でも無理なく続けられる “シンプルで続くスキンケア” を提案している。

よくある質問(FAQ)


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