すべての始まりは、あの日見た景色でした。|はじまり #01

「あぁ、そういうことだったのか。」
その瞬間、頭の中でバラバラだった点が一本の線につながりました。

肌荒れに悩んだこと。
美容を学んだこと。
何を試しても満足できなかったこと。
そして、学生時代に見たタイの景色。

今振り返ると、私が「洗顔研究家」になろうと決意したのは、この瞬間だったのだと思います。でもその答えに辿り着くまでには、たくさんの遠回りがありました。

洗顔研究家になるなんて思っていなかった。

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こんにちは。
洗顔研究家の松田理沙です。

ルアンルアンの生せっけんに出会って、生せっけんが大好きで、洗顔研究家としてスキンケアのはじまりである「洗顔」をもっと皆さんに楽しんでもらいたいなぁ、と思いながら日々活動しています。

この連載では、私がなぜ「素肌美の近道は、洗顔。」という考え方に辿り着いたのか。
そして、なぜ「洗顔」を研究し続けているのか。その原点となるお話しをしていきます。

洗顔研究家ってなんだろう?と、あまり聞き馴染みのない言葉かとは思いますが、まずは ”なんか面白そうな人だな” そんな風に思っていただけたら嬉しいです。ぜひ、最後までお付き合いください。

今でこそ洗顔研究家という肩書きで活動していますが、最初から洗顔の大切さに気づいていたわけではありません。むしろ、その逆でした。

肌が荒れたら美容液。乾燥したらクリーム。
何かトラブルが起きたら、もっと良い化粧品を探す。

そんな「与える」美容を、当たり前に信じていました。今こうして洗顔について語っている自分自身が、一番不思議かもしれません。

与えるケアで肌をきれいにしよう、と頑張り続けていた私ですが、そんな私が「落とす」ケアである「洗顔」を研究しようと思うに至るまでには、わたしの周りに当たり前にあった 身近な環境 とたくさんの出会いがありました。今回は、そんなお話をしていきます。

父の背中を追いかけて

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子どもの頃から、ひとつだけ思っていたことがあります。

いつか父の仕事を手伝える人になりたい。

私の父はいつも仕事をしていました。
休みなんて関係なく、朝から晩まで。
家にいても、車の中でも。旅行先でも。

子どもの私は、そんな父を見ながら

「どうしてそんなに仕事ばかりしているんだろう」

と思うこともありました。

でも、不思議とそれが嫌だった記憶はありません。

私にとっては、父が仕事をしていることが当たり前だったからです。

家にいても仕事。車の中でも仕事。旅行先でも仕事。

だから、

「お父さんってそういうものなんだ」

くらいに思っていました。

忙しい父が家にいる日は嬉しかったですし、今思い返すと面白い記憶もあります。

車で移動している時、父が仕事の電話を始めると、幼い頃の私たちはピタッと話すのをやめていました。
静かにしなさいと言われたわけではありません。でも電話が始まると、妹と一緒にピタッと黙る。
今思うと、よくそんなことができていたなと思います。

それくらい、父が仕事をしている姿は、私にとって特別ではなく、日常の景色だったのです。

仕事をしている父を間近で見ていた中で、何より印象に残っているのは、何かを実現させた時の父でした。

商品が形になった時。思い描いたことが実現した時。

そんな話をする父は、とても嬉しそうでした。
普段は仕事の話をしているか、面白おかしくふざけてくれるか‥そんな父だったので、嬉しそうな瞬間の、ちょっと特別な顔を見るのが好きでした。

だから、

「父の仕事を手伝いたい」

というより、

「父の役にたてたら、かっこいいなぁ」

そんな気持ちだったのかもしれません。

それがいつしか、

私も父のように、誰かの役に立てる人になりたい。
そのためには、まず父の役に立てる人になりたい。

そんな気持ちが、ずっと心のどこかにありました。

あの日見たタイの景色

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学生時代になると、父の仕事のサポートとしてタイへ同行する機会が増えました。
私は通訳として現地へ行くようになります。その時に見た景色が、今でも忘れられません。

広大なハーブ畑。
山奥の温泉地。
大自然の香り。

日本では見たことのない植物たち。
そして自然と共に暮らしながら、美しさや健康を育む人たち。

今思えば、その場所には今の生せっけんの原点となるものがたくさんありました。

でも当時の私は、その意味を全く理解していませんでした‥。

まだまだ若かった当時。

美容も、メイクも、新しい化粧品にも、とっても興味があったし、雑誌で紹介される美容情報を読むのも好きでした。

特に興味があったのは、何を「与える」かです。
どんな美容液を使うか。どんなクリームを塗るか。どんな成分を取り入れるか。

肌をきれいにする、というよりは ”キレイになりたいなぁ” と漠然と心に浮かぶ思いを抱えながら、少しでも理想に近づくために自分に何を付け足していこう・・と、そんなことばかり考えていました。

だから、目の前に広がるハーブ畑を見ても、天然の泥を見ても。現地の人たちの話を聞いても。
正直に言うと、「へぇ、そうなんだ。」くらいの小さな感動だったと思います。

もちろん驚きました。「大自然の力って面白い。」そんな素直な感動ありました。

実際に見たり触れたり‥と体験できたからこそ、そんな感想はありましたが、それが自分の美容とつながるとは思っていませんでした。
だから、その景色は記憶には残っても、心には刺さらなかったのです。

頑張るほど荒れていった

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その後、私は社会に出ます。

まずは自分の力で認められる人になりたい。
そう思い、新卒でITベンチャー企業へ入社しました。

人にも恵まれ、仕事にもやりがいがありました。
でも、初めてのことだらけの毎日で、緊張と覚えることの連続でした。

気づけば生活リズムは崩れ、食事も不規則になり、体重も増えていきました。
そして、肌も荒れました。

そうすると、それまでは気にならなかったことが少しずつ気になるようになっていったのです‥。

鏡を見るたびに気になる肌。メイクで隠そうとしても隠しきれない肌荒れ。
肌が荒れると、気持ちまで沈んでいきました。

鏡をみると、肌荒れを認めないといけない‥
自分の理想とは程遠い肌を見つめなければいけなくて、鏡を見るのが少し嫌でした。

ニキビは増えていないかな。赤みは目立っていないかな。

そんな気になるところを無意識に確認してしまっていたのです。

メイクで隠そうとしても、思うように隠れない。

そんな日は、なんだか一日中気持ちまで下を向いていました。

今思えば、肌そのものに悩んでいたというより、

「頑張っているのにうまくいかない」

そんな感覚が苦しかったのかもしれません。

仕事も頑張りたい。もっと成長したい。
そう思っていた時期だったからこそ、なおさらだったのだと思います。

でも当時の私は、忙しさもあって、その現実とちゃんと向き合えていませんでした。

見ないふりをして。気づかないふりをして。
とにかく毎日をこなしていた。

そんな時期だったように思います。

もちろん、どうにかしたいと思ったので、本や雑誌を読んで、美容を意識してみたり。
カバー力の高いコスメを買ったり、メイク法も試してみました。
美容液もクリームも買ったり、パックもしたり。
肌が荒れたら、もっと頑張る。足りないなら、もっと与える。
それが正しいと思っていました。

でも、なぜか整わない。良くなったと思ったら、また揺らぐ。
そんなことの繰り返しでした。

美容を学ぶほど増えた疑問

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自分の素肌や身体のメリハリも崩れたことで、
美容により興味をもった私は、美容部員として働くようになります。

どうして整わないんだろう。
何が足りないんだろう。

そんな疑問だけが、少しずつ大きくなっていきました。

だからこそ私は、もっと美容を深く知りたいと思うようになったのです。

美容部員になれば、その答えが見つかるかもしれない。

そんな気持ちも、どこかにあったのだと思います。

美容部員時代は、たくさんのお客様と出会うことができました。
毎日たくさんの肌に触れ、たくさんのお悩みを聞かせていただきました。

そんな中で出会ったのは、自分と同じように悩む人たちでした。
良い化粧品を使って、きちんとケアもしているのに「自分の理想」の肌には整わない。

与えるケアを頑張っているのに、どうして整わないんだろう。

その疑問は、日に日に大きくなっていきました。

もっと良い美容液?
もっと高価なクリーム?
もっと特別な成分?

もちろん、そうしたアイテムに助けられることもあります。

でも、本当にそれだけなんだろうか。

お客様の肌に触れるたびに。自分の肌を見るたびに。
同じ疑問が浮かぶようになっていました。

だから美容を学べば学ぶほど、その疑問は大きくなっていったのです。

そんな疑問を抱えながら過ごしていた頃のことです。

「肌がなんだか違う」

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ある日、本当に些細なきっかけがありました。

「肌がなんだか違う。」

鏡を見た瞬間、そう思ったのです。

それまでの私は、洗顔をどちらかというと軽く考えていました。

疲れて帰れば、メイクを落とさず寝てしまうこともあったし、洗顔はスキンケアを始める前の準備。そのくらいの認識だったと思います。
だから、美容液やクリームには時間をかけても、洗顔はちゃちゃっと素早く終わらせていました。

でもその日は違いました。

本当にたまたま。ゆっくりと、やさしく。丁寧に。
洗顔に時間をかけた日だったのです。

しっかり泡立てた泡を肌にのせる。
こすらないように洗う。慌てず、きちんとすすぐ。
いつもより少しだけ時間をかけて、自分の肌と向き合いました。

そして洗い流したあと。
何気なく鏡を見た私は、思わず自分の肌をまじまじと眺めました。

「あれ?」

肌がつるんとして見える。
なんだかやわらかい。自然なツヤまで感じる。

もちろん、一度の洗顔で何かが劇的に変わったわけではありません。
でも、今まで感じたことのない感覚でした。

そこで初めて思ったのです。

もしかして。

本当に見直さなければいけないのは、美容液の「前」にあるものなんじゃないか。

それから私は、洗顔と向き合うようになりました。
しっかり泡立てる。やさしく洗う。丁寧にすすぐ。

そんな小さなことを続けていくうちに、長く悩んでいた毛穴の黒ずみが少しずつ気にならなくなり、化粧ノリも変わっていきました。

点と点がつながった日

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そして、その時ふと思い出したのです。

学生時代に見たタイの景色。
自然と共に暮らしながら、土台を整えることを大切にしていた人たち。

あの時は理解できなかった景色。
あの時は気づけなかった考え方。

それらが突然、自分の中でつながりました。

「あぁ、そういうことだったのか。」

学生時代に見たタイの景色。

社会人になって経験した肌荒れ。

美容部員として感じた違和感。

そして、
洗顔と向き合った日の小さな驚き。

それまでバラバラだった出来事が、ようやく一本の線になったのです。

私はずっと、

肌をきれいにするためには
何かを足していくことが大切なんだと思っていました。

でも、そうじゃなかった。

まずは土台を整えること。

その大切さを、私はようやく理解できた気がしました。

そして同時に思ったのです。

なぜ洗顔で肌は変わるんだろう。

なぜ私は今まで、洗顔をこんなにも軽く考えていたんだろう。

なぜタイの人たちは、土台を整えることをあれほど大切にしていたんだろう。

その答えを、私はもっとちゃんと知りたいと思いました。

だから、洗顔を一から学び直そうと思ったのです。

成分のこと。泡のこと。洗い方のこと。肌のこと。

これまで当たり前だと思っていた洗顔を、もう一度ゼロから学び直してみよう。

そう思いました。

そして、その学びが今の「洗顔研究家」という活動へとつながっていきます。

なぜ学生時代のタイでの体験が、何年も経ってから私の価値観を変えたのか。
なぜあの景色が、今でも私の原点なのか。

その話は、次回お話ししたいと思います。

あの時の私は、タイで見た あの 景色が、何年も経って自分の人生を大きく変えることになるなんて、まったく思ってもいませんでした。


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