

私は父の仕事に同行し、通訳としてタイを訪れていました。
父は仕事。
私は、その隣で通訳をする。
今思えば、本当に貴重な時間だったと思います。
でも当時の私は、「タイへ行ける。」そんな気持ちの方が少しだけ大きくて、父が何を見て、何を感じながら現地の人たちと話をしているのかまでは、深く考えていませんでした。
もちろん、
美容の仕事に就くことも、洗顔研究家になることも、まだ想像もしていなかった頃です。
タイへ行くたびに、父はいろいろな場所へ連れて行ってくれました。
職人さんが一本の大木から、家具や雑貨を一つひとつ手作業で作り上げる木彫りの村。
山奥にある泥の温泉。
そして、
広大なハーブ畑。
どれも日本では見たことのない景色ばかりで、
学生だった私には、それだけで十分わくわくする毎日でした。
父は現地の方と話をしながら、植物のことや、その土地の暮らしについて熱心に耳を傾けていました。
でも正直、
その頃の私は、父の話よりも、目の前に広がる景色ばかりを見ていました。
だからなのかもしれません。
何年経った今でも、不思議なくらい鮮明に思い出せる景色があります。
それが、あの “ハーブ畑” でした。



















