界面活性作用を使って不要なものを落としきる。このことに嫌悪感は無くなりましたでしょうか。そうであれば嬉しいのですが…。
マイナスイメージが無くなれば、あとはどのようなものを選ぶかだけです。
これは断然、天然界面活性剤である「石鹸」をおすすめします。
なぜなら石鹸は洗顔後に水で洗い流すと、界面活性作用が失われる、という性質を兼ね備えている界面活性剤だからです。詳しくは前回のコラム 「石鹸のアルカリ性?ペーハーって何?」をご覧ください。
この、“肌の上に界面活性剤が残らない” というのはものすごく大きなメリットです。
また、弱酸性の洗顔料とよく比較される “石鹸のアルカリ性” についても、肌には「アルカリ中和能」という機能が備わっていて、洗顔後にお肌がアルカリ性に傾いても、自然と肌が最も安定する弱酸性に引き戻す作用が働きますので大きな心配はいりません。
ちなみにアルカリ性の特徴である「汚れを落としやすい」という部分は、そのまま洗浄力が高いということになります。ただお肌には洗顔で落としたくないものもたくさんありますよね。これに対してどう解決しているのかが石鹸メーカーの腕の見どころであり、製品の違いとなって表れる部分です。
例えば脂肪酸や油脂にどのようなものを選ぶのか。どのような製法で不純物を排除するのか。PH(ペーハー)をどこで安定させるのか・・・などなど。
一言で「石鹸」と言っても、落とすことに全力集中したパワフルなものから、必要な皮脂や細胞間脂質(セラミドなど)はなるべく落とさないように工夫されたものまで様々です。
そんな石鹸ですが、洗浄力が強い石鹸を選ばないほうが良い時もあります。
それはかなり肌力が弱っている時(突発的な乾燥・敏感肌)や、皮脂量が少なくなっている時です。
石鹸がアルカリ性であることは洗浄力の部分で大きなメリットですが、それは先ほど触れた「アルカリ中和能」がしっかりと働くことが前提です。
この引き戻す力が弱っている時は界面活性作用による洗浄力が強い石鹸だとデメリットが勝ってしまう可能性が出てきます。
まずは肌力を取り戻すことが先決になりますので、優しさに工夫を施したものを選んでください。弱酸性の洗顔料や、ぬるま湯だけでの洗顔を数週間続けてみるのも正しい選択です。ただし、洗浄力が弱いので、洗顔に時間をかけるか、落としやすい化粧品を使うなどの工夫も一緒に行ってください。
そして肌が元気を取り戻したら、また石鹸でしっかりと落としきるようにしましょう。いつまでも落としきらないで優しさ優先にしていると、肌がたくましさを失ってしまったり、不要なものが積もっていってしまいますのでお気を付けください。